【2024年前半】豪ドル円(AUD/JPY)の今後の見通し・予想
先進国の中では歴史的に金利が高い通貨ですので、金利動向には敏感に反応します。またRBA総裁などの金融当局者や、政府閣僚などから、為替水準に関する発言が比較的多くあり、その内容が市場で注目されます。高金利を背景に投資対象として見られることが多いことから、世界が政治的、経済的に安定している時には豪ドル高になりやすく、反対に混乱すると豪ドル安になりやすい性質があります。
現在は輸出主導型から内需中心の経済へ移行しつつありますが、それでも豊富な天然資源や食料品の輸出は盛んです。したがって、世界的な景気に影響を受けることはもちろん、貿易相手として輸出入ともに第1位の中国の景気に左右されるため、自国の経済指標と同様に中国の経済指標も豪ドル相場に大きく影響します。また資源国通貨の側面もあることから、原油・鉄鉱石・金など資源価格の変動も、豪ドル相場を動かす要因となり、商品市況の動きにも注意する必要があります。
豪ドル大台接近 16年ぶり高値も オーストラリア経済の見通しは?
コモディティ価格の上昇による貿易黒字は中国需要に依るところが大きいため、中国国内の経済動向や豪中関係の政治的変化にも気を配る必要があります。
現在の中国経済ですが、その足元は今まさに正念場を迎えているといっても過言ではないでしょう。2020年のコロナショック以降、初期段階では迅速なロックダウン(都市封鎖)やワクチン接種の進展から早期の経済立て直しに期待がかかりました。ただ、金融緩和による投資マネーの流入で不動産価格が高騰し、政府は住宅ローンや不動産開発企業への融資に規制を設けました。これを契機に中国市況は低迷をはじめ、中国恒大集団などが経営危機に陥りました。
足元でも、不動産を巡る不透明感が幅広く経済の足かせとなる展開が続いており、中国当局はその対応に様々な手を講じています。今後のオーストラリア経済の見通しを見極めるうえでも中国の政治・経済動向には目を向けておく必要がありそうです。
豪ドルは先進国通貨でありながら資源国通貨の側面をあわせ持つ通貨です。資源価格が上昇すると豪ドル相場も上昇する傾向があります。
オーストラリアは歴史的に先進諸国の中ではインフレ率が高くなりがちなことから、金利も他の先進諸国よりも高くなる傾向があります。そのため、世界的に政治・経済が安定している時には金利狙いの資金が集まりやすく、豪ドルも高くなる傾向がある一方、突発的な混乱が生じると、一気に資金が流出して豪ドル安となることもあります。
米ドルやユーロなどと比べると、市場規模が小さいため、投資資金の移動が始まると一方的な動きとなりやすい特性もあります。また値幅も非常に大きく、変動のスピードも速くなることが多いため、余裕をもった投資を心掛けることが必要でしょう。
豪ドル円相場が16年ぶりの豪ドル高水準に近づいている。ただしオーストラリア経済の見通しの悪さは豪ドルを下押しされる可能性も。
Exchange Quotations
下表通貨のお取り引きに際しては必ず三菱UFJ銀行の本支店の店頭でご確認いただきますようお願いいたします。
なお、公表仲値(TTM)は、TTSとTTBの中間の相場であり、(TTS+TTB)/2で算出されます。
米ドル、ユーロの外貨現金両替相場は以下のとおりです
*1:100通貨単位につき円 (Yen per 100unit)
*2:TTBは参考相場 (TTB is for reference only)
*3:IDRは参考相場、100通貨単位につき円 (Reference only, Yen per 100unit)
相場は11時過ぎに変更します (Table will be updated around 11:00)
CodeはS.W.I.F.T.通貨コード (Code:S.W.I.F.T.
逆に、中国経済の回復が思わしくない場合、豪州経済にとってもマイナスに作用する可能性があります。
これは豪ドルの下落要因になると考えられます。
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経済対策が期待通りの効果を上げるなら、中国経済は回復すると見込まれます。
豪州は中国と経済的な結びつきが強いとされており、中国経済の発展は豪ドルの上昇につながることが考えられます。
豪ドル相場は、BRICsなどの新興国が台頭し、米国経済も好調だった2006年から2007年にかけて、資源輸出が大きく拡大し経常黒字が増加したことに加え、世界経済が安定的に推移したことも手伝って1豪ドル=80円台から107円台まで大きく上昇しました。
2008年9月にリーマンショックが発生すると、投資資金が一気に流出し1豪ドル=101円台から50円台まで急落しました。世界経済の混乱が豪ドル相場に悪影響を与える典型的な動きでした。しかし中国が大型景気対策を講じると、資源輸出の回復期待から豪ドルは反発へ転じ2010年4月には1豪ドル=88円付近まで上昇しました。さらにアベノミクスによる全般的な円安が始まると2013年4月には1豪ドル=105円台まで上昇しました。しかし2015年に入ると、関係の深い中国経済の減速や急激な原油安 (商品市況安) から豪ドル安となり、2016年6月には1豪ドル=72円台まで下落しました。
2020年初めから新型コロナの拡大によるリスク回避の動きが広がると、1豪ドル=80円付近から60円割れまで急落しました。しかし世界的な景気回復が始まると反発、エネルギーを中心とした資源価格の急騰も後押しとなって、1豪ドル=85円台まで反発した後、1豪ドル=80円付近を中心とした値動きとなりました。
2022年に入って、オーストラリアを含む各国の利上げが始まりましたが、日本が異次元緩和政策を維持したことから全般的な円安の動きとなって2022年9月に1豪ドル=98円台まで上昇しました。その後円相場が反発すると2023年に1豪ドル=86円付近まで下落する場面もありましたが、日経平均株価が40,000円乗せまで上昇する中、再び円売りが優勢となって2024年4月、豪ドルは約10年ぶりに100円台に乗せました。この間、日銀が2024年3月に2013年から続けてきた異次元緩和を終了し、約17年ぶりとなる利上げを決定しましたが、植田日銀総裁が「緩和的な金融政策を継続することが大切」などとしたことから円高の動きにはつながりませんでした。しかしRBAが2024年6月に追加利上げを排除しないと表明したことから、1豪ドル=105円後半と約17年ぶりの高値まで上昇しました。
ユーロ圏をはじめ主要国が金利引き下げサイクルに移行する中、オーストラリアが追加利上げをしたり、利下げ開始時期がさらに先送りされたりすると、豪ドルは一段と上昇すると考えられています。
10年後は100円台?【豪ドルの長期見通し】未来が明るい理由とは
世界的に大きなダメージを与えた新型コロナウイルスの蔓延による経済活動の停滞。そのコロナショックからいち早く立ち直ったオーストラリア経済を底支えしているのが鉄鉱石に代表される鉱物資源、液化天然ガス(以下、LNG)に代表されるエネルギー資源の輸出にあります。
近年は世界的にコモディティ価格が堅調に推移しており、この流れはインフレリスクのヘッジ手段としての需要を背景に続いていくことが想定されます。したがって、オーストラリア経済の成長見通しが堅持されれば、豪ドル/円相場も比較的堅調な推移となりそうです。一方、昨今のウクライナ情勢をはじめとした地政学リスクの高まりを受けて、商品相場のボラティリティは高まっているため、資源価格が変動する局面では豪ドル/円相場への影響には注意したいです。
豪米2年債利回り差は、足下で0.2%程度の豪ドル劣位です(図表2参照)。その一方で、日米2年債利回り差米ドル優位は3%を大きく上回っています。2022年の歴史的インフレ以降、先進国は軒並みインフレ対策で大幅な利上げに動いたのに対し、当初日本だけは金利上昇を抑制する政策を続けました。その結果、日本と米国など先進国の金利差は円劣位が大幅に拡大した一方で、日本以外の先進国間の金利差拡大は限られました。
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豪州の政策金利は2022年5月から上昇を始めた一方、日本の利上げは2024年3月以降です。
金利が高い通貨を保有すると金利収入が増えるため、市場参加者は金利が低い通貨よりも高い通貨を選好する傾向にあります。
これを受けて、豪ドル/円は円安が進んだ模様です。
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年初から7月にかけて、豪ドル/円は円安の展開でした。
この要因として、日本と豪州の金利格差が指摘されています。
下のグラフは、豪州準備銀行(RBA)と日銀の政策金利の推移を示したものです。
中国経済の鈍化や需要減少が起きると、オーストラリアへの輸出が減少し、豪ドルは下落する可能性があります。 豪ドルの高金利政策とその影響
資源国通貨としての特色が色濃い豪ドルですが、鉄鉱石やボーキサイトといったに加え、石炭や天然ガスといったの商品相場に連動して為替相場が影響を受けます。もちろん、同国の経済においてもこれら資源貿易は重要な位置を占めており、がオーストラリア経済に与える影響は非常に大きいと言えます。
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しかし、7月以降は一転して円高が進み、売りが収まるとレンジ相場に移行しました。
この間、豪州の政策金利に変化は見られません。
日本の政策金利引き上げ見通しを受けて、円は他の主要通貨に対して強い展開でした。
豪ドルに対しても同様の動きが見られます。
資源国通貨として人気; 世界6位の取引量; 高金利通貨 · 豪ドルの主な相場変動要因
オーストラリアは世界第6位の広大な土地 (日本の約20倍) に約2,626万人 (2022年12月) の人々が暮らす国です。19世紀に全土がイギリスの植民地となって以来、主にイギリスからの移民によって人口が拡大しました。現在でも英国連邦に属し、英国のチャールズ3世国王がオーストラリア国王を兼ねていて、英国との親密な関係が維持されています。
先進国でありながら金、鉛、ニッケル、ウラン、亜鉛、鉄鉱石などを産出する天然資源が豊富な国です。そのため新興国の成長によって“資源ブーム”が起こった2003年から2007年頃には、オーストラリア経済も好調で、オーストラリアドル (豪ドル) は金利が高く、投資家の人気を集めました。しかし、新興国経済が減速した2016年以降は、経済成長が伸び悩み、金利も低下傾向でした。
輸出における資源・エネルギーの割合は約50%と非常に高いものの、実は鉱業がオーストラリアのGDPに占める割合は約10%とそれほど高くはありません。GDPの約70%は金融や公益事業、消費関連などのサービス業が占め、オーストラリア経済の主役となっています。移民政策も含め、先進国としては珍しく当面の人口増加が見込まれている点にも注目すべきでしょう。しかしやはり資源・エネルギーの輸出はオーストラリア経済の足元を固めています。その点で今懸念があるとすれば、輸出入ともに相手国として中国が第一位である点です。中国の景気に左右されやすく、今後の米中関係、中露関係の行方や、中国の太平洋への進出によって豪中関係に変化があると、大きな悪影響が出る可能性があります。
コロナ禍に対しては、当初は国境封鎖をはじめとする強力な感染対策による封じ込めに成功しましたが、その後、感染が拡大するとともに、第2の都市メルボルンでは累計で世界最長となったロックダウンが実施されるなど経済活動に深刻な悪影響が出ました。ただ、出遅れたワクチン政策が軌道に乗ったことで、2022年10月にはほとんどの規制が解除されました。
2022年2月にロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻を開始して以来、オーストラリアを含む西側諸国はウクライナに物心両面で支援を続けていますが、ロシアに対しては経済制裁を科すなど厳しい姿勢を示しています。この間も中国は西側諸国と異なってロシアとの緊密な関係を維持しています。加えて中国による海洋進出をけん制することも目的のひとつとしてAUKUS (豪、英、米) やQUAD (日、米、豪、印) などの取り組みも始まっています。さらにソロモン諸島と中国が安全保障協定を締結したことをオーストラリアは強く懸念していて、今後豪中関係に大きな変化があれば経済へのネガティブな影響となることが考えられます。
長年高金利が魅力とされてきた豪ドルですが、コロナ禍後の利上げサイクルでは米英などに比べやや慎重な利上げペースとなっていました。中央銀行であるオーストラリア準備銀行 (RBA) は2022年5月に政策金利を0.10%から0.35%に引き上げて利上げを開始し、2023年6月までに4.10%まで引き上げました。その後アメリカの利上げが終了したとの見方が広まる中、しばらく様子見をしたものの2023年11月に再び4.35%へ引き上げました。
2024年3月、日銀金融政策決定会合で「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」として、2013年から続けてきた異次元緩和が終了され、約17年ぶりとなる利上げが決定されました。しかし植田日銀総裁が今後の金利の引き上げペースに関して「急激な上昇というのは避けられるとみている」と述べたことなどから、緩和的な金融政策が継続されると見られています。
一方RBAは2024年6月の理事会まで政策金利を据え置いていますが、「インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」「インフレ率を2~3%の目標範囲に戻す道のりはまだ長い」として、必要であれば追加利上げを排除しないと改めて表明しています。すでに2024年6月に利下げをしたユーロ圏に続いて、アメリカ、英国など主要国が年内に利下げに転じると見られる中、タカ派的な態度を崩していないオーストラリアは、他国との違いが際立つ形となっています。
[PDF] 見通しサマリー 世界経済・金融市場見通し 主要資産の見通し 主要国
豪ドル相場の見通しを予測するうえで、オーストラリア経済の指標チェックは欠かせません。なかでも、オーストラリア準備銀行(Reserve Bank of Australia 以下、RBA)が発表する政策金利や声明文は非常に高い注目度を集めます。
げとの組み合わせはドル円の下押し圧力となろう。ただし、11 月末のドル
さて、オーストラリア経済に目を移すと同国経済は2018年までの28年間にわたり年度単位でのプラス成長を実現してきています。ですが、新型コロナウイルス感染拡大やドル需給問題などの影響によって2020年の経済成長率はマイナスに転じてしまいました。しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた初期から財政・金融双方において大胆な支援策を打ち出したことによって同国経済は他国と比べ悪化せず、結果的に早い段階でコロナショック以前の水準を回復するとその後も着実な成長を続けています。
先進国でありながら天然資源が豊富リスク回避の動きが広がる追加利上げの可能性も
RBAはオーストラリアを見舞ったコロナショックに対応し、その経済支援の一端として政策金利を過去最低の0.10%まで引き下げました。その後、RBAが注視していたインフレ率や失業率などが改善に向かっていく中で利上げが進んでいき、一時停止を挟みながら2023年11月会合まで利上げを継続しました。2024年5月時点の政策金利は4.35%となっています。
現在は金利を据え置いていますが、インフレ動向とRBAの金融政策の行方が今後の注目ポイントです。
豪ドル/円や豪州(オーストラリア)には、以下の特徴があります。 豪ドルや豪州の特徴
*円「通貨10位(9位)、株価4位(17位)、日本が、また「失われた20年」に戻る危惧あり」
(独歩安の円の修正で世界の通貨が平準化)(除くメキシコとトルコ)
円は依然、堅調。7月の介入以降は最強。先週と今月はここまで2位。年間はまだ10位だが、首位ポンドとの差は6.25%で、介入前の首位であった南アランドなど8位までの通貨に10%以上引き離されていたことを思えば世界の通貨が平準化されている。もともと円の独歩安であり、他の通貨は介入前も後もドルとは大きく乖離していない。G7、G20でも為替は今後も議題にはならないだろう。
位置的には、日足、週足がボリバン下限に近いので短期的には一服する。月足は161円台から調整しているが、まだボリバン中位。中長期的には下げ余地がまだある。月足の下限は120円前後。
(ドル円需給)
ドル円の注文状況を見ると閑散で、まだ介入効果が続いている。ジワジワと時間をかけて影響。需給的には15兆円の輸出が出たようなものなので、円売り需要は減少している。今年はまだ貿易赤字だが金額は減少している。介入で円安効果が完全に相殺されたオルカンなどの外貨投信の買いが復活するかどうか。
(国会答弁で日銀植田総裁と鈴木財務大臣の発言)
注目の国会答弁で日銀植田総裁は、「日銀利上げ後の8月初めの株安は、米景気の減速懸念が急激に広がったことなどが要因」、「急激な円高は日銀の政策変更も背景にある」、「利上げは、物価見通しと輸入物価上昇による物価上振れリスクを考慮」と発言し、日銀の政策変更だけが市場を混乱させたわけではないとした。ただ市場の混乱は認識しているようで、「内外市場は引き続き不安定で高い緊張感を持って注視」とした。経済物価データ次第では利上げもあり得ることも示唆した。
一方、鈴木財務大臣は「デフレ脱却宣言していない。後戻りする可能性は否定できない。為替が急激に変化することは望ましくない」と発言し、大臣のインフレの認識と介入・利上げの政策との矛盾を抱かせた。
(今週も物価関連指標の発表あり)
7月消費者物価指数は前年比2.8%上昇、6月と同値であった。コアは2.7%、コアコア指数は1.9%の伸びで6月の2.2%から低下。今週は日銀の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」の発表がある。現状3つの指標のうち2つが2%を割り込んでいる。エネルギー補助金の終了やコメ価格の上昇があるが一過性のものではないか。また8月東京都区部の消費者物価の発表もある。世界的に見ると落ち着いた物価動向だ。
(日本が心配)
主婦を中心として物価高を抑制する世論も多い。選挙にも影響するので政府自民党は利上げや介入で対応。ただ円高になると企業収益、株価利益、税収も減少し、景気は悪化し、賃金の上昇も望めなくなる。
世帯主の給与が減ってまでしても物価が下がるのが良いのだろうか。円安・株価上昇・最高の企業収益と税収の好循環が崩れた時、あの「失われた20年」を思い出してしまう。
*米ドル「通貨5位(3位)、株価(NYダウ)11位(11位)、ハリス氏かトランプ氏かでの基本投資方針」
(ドル安株高)
前回の予想「緩やかな景気減速でドル下落、株価上昇か」の通りとなった。
米ドルは景気減速、インフレ低下、円買い介入で7月から下落している。ドルインデックスは6下旬の106台から100台へ下落。100割れも見えてきた。
今年は7月の日銀介入あたりまでは、12通貨中で年間首位に立つことも多かったが、現在は5位、8月はここまで10位と弱い。10年国債利回りは4%台から3%後半へ低下、株価は底堅くなってきた
ただ米株価は日本と異なり、為替や金利とはそう関係なく上昇している。
(次は0.25%か0.5%か)
日銀と異なり、FRBは議長、副議長、理事、地区連銀総裁で意見が異なることが多い。ただ前回も触れたが、2週間前からは、ほぼ全員が9月の利下げを示唆し始めていた。ジャクソンホールでのパウエル議長の「政策を調整する時が来た。インフレ率が2%への軌道にあるとの確信強めた」との発言も違和感はなかった。ただ、それで材料出尽くしとならなかったのは、今後の焦点が9月の0.25%から0.5%の利下げで迷う所となったからだ。9月FOMCまで、いつも通り、雇用統計と消費者物価の発表がある。そのデータ次第だが、それで予想利下げ幅が0.25%か0.5%なるかで、ドル下げの度合いが異なってくるだろう。
(今週の焦点)
今週の焦点は、7月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、2Q・GDP改定値、シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者態度指数・確報値が焦点となる。
(ハリス氏かトランプ氏かでの投資プラン)
大統領選挙戦が白熱してきた。どちらが勝っても、議会の多数派が民主党か共和党かも焦点。財政赤字の天井問題で、野党に反対されれば、経済まで行き詰ることとなる。ハリス氏が大統領となれば内外共に政治経済は大きく変わらないが、トランプ氏となると、内外の政治経済の枠組みが大きく変わってしまう。ただ大きな変革となる。大きな変革となれば時間がかかる。おそらく4年では時間が短い。政策・公約を成就できずに終わってしまい、また元の体制に戻るのではないか。トランプ政権で波乱があっても、その波乱で歪んで動いたものに投資し、次世代で刈り取りたい。
(GDPナウ、CPIナウ)
現在、3Q・GDPナウは2.0%、8月CPIナウは2.59%。利下げへ向える数字だ。
*ユーロ「通貨3位(4位)、株価6位(9位)DAX)、ECB関係者は9月利下げを示唆」
(ミニトリプル高の欧州市場)
12通貨中3位へ上昇。強い材料はないが、ドルの下落で上昇。株価では独DAXが先週1.7%上昇で年初来11.23%高、極右進出で揺れたフランスCACもプラス圏へ(年初来0.45%高)。欧州各国国債(10年)も今月は利回り低下、独10年国債は月初の2.3%から2.23%へ低下。
(先週の指標、力強さはない。サービス業は改善)
ユーロ圏8月総合PMIは51.2で7月の50.2から上昇。予想の50.1を上回った。サービス業が製造業の不振をカバーした。 サービス部門PMIは53.3で前月の51.9から上昇。製造業PMIは45.8から45.6に低下。
8月のユーロ圏消費者信頼感指数はマイナス13.4と、前月のマイナス13.0から0.4悪化した。
(今週はユーロ圏消費物価の発表)
今週は8月ユーロ圏消費物価の発表がある。予想は2.3%の上昇で7月の2.6%から低下。独の8月IFO企業景況感指数も発表される
(ECB関係者は9月利下げを示唆)
パネッタECB専務理事は9月の理事会で利下げを決定することを望むと述べた。「インフレが鈍化し、世界経済は減速しているため、今後は金融緩和の段階に入ると予想するのは妥当だと考えている」と述べた。レーン・フィンランド中銀総裁は、欧州の成長見通しに対するリスクが高まっていることから、9月会合での利下げの根拠は強まったとの考えを示した。
カザークス・ラトビア中銀総裁は、9月の会合で追加利下げを議論する用意があると発言。インフレ率の2%回帰に自信を示す一方で、景気を巡る懸念を表明した。
*ポンド「通貨首位(2位)、株価12位(10位)、年間首位奪回、ベイリー英中銀総裁=追加利下げを急ぐつもりはない」
(ポンドが年間首位奪回)
南アランドから年間首位の座を奪回。ただ対円では先週は下落した。FT株価指数は年初来7.69%高、10年国債は月初の3.96%から3.92%へ低下。
(総合)
8月の総合PMIは53.4と、4月以来の高水準となった。7月は52.8、予想は52.9。8月は成長率の上昇、雇用創出の改善、インフレ率の低下という歓迎すべき組み合わせが見られた。
(ベイリー英中銀総裁@ジャクソンホール会議)
ベイリー英中銀総裁は、長期的な物価圧力は緩和しつつあるとしながらも、インフレが抑制されたと確信するにはまだ早いため、追加利下げを急ぐつもりはないと述べた。
ベイリー総裁は、今後は慎重に動くとし、「インフレが低水準にとどまることを確認し、早すぎたり幅が大きすぎる引き下げにならないよう注意する必要がある」と述べた。
「根強いインフレを抑制するための経済的コストは、過去の事例と比べて小さくなっている可能性がある」とし、経済のソフトランディングのシナリオに沿ったディスインフレのプロセスに整合しているとの考えを示した。 同時に、インフレ期待が一段と安定していると「慎重ながらも楽観視」しているとしながらも、金融政策は「十分な期間にわたり制約的でなければならない」と述べた。
*豪ドル「通貨6位(6位)、株価15位(15位)、7月消費者物価は低下予想」
(RBAが利下げを検討するのは時期尚早と繰り返すも、豪ドルは、それほど強くなく6位)
RBAが利下げを検討するのは時期尚早と繰り返すも、豪ドルは、それほど強くなく6位。豪全株指数は年初来5.36%高、10年国債は3.89%でドルと米国債と近い。
(利下げの可能性は低い=RBAは議事要旨)
RBAは議事要旨で、短期的に利下げの可能性は低いとの見解で一致したことを明らかにした。 インフレを確実に抑制するには制約的な政策を「長期間」維持することが必要になる可能性に言及した。利上げの是非についても議論した。理事会メンバーは「市場が現在示唆するよりも長期間、政策金利を現行水準で維持することがインフレ率を妥当な時間枠で目標に戻すのに十分かもしれないが、今後の会合でこの可能性を再評価する必要がある」と判断した。
(7月消費者物価に注目)
7月消費者物価の発表がある。予想は3.4%で6月の3.8%から低下する。ただゴールドマン・サックスは、前月比で0.7%低下、前年比では2.7%と予想している。コアインフレに強固な粘着性が見られるものの、政府の生活費軽減策で消費者物価が大幅に押し下げられるためだ。
(4大銀行のうち3行が定期預金金利を引き下げた)
4大銀行のうち3行が定期預金金利を引き下げた。RBAは利下げを検討するのは時期尚早としているが、民間銀行はRBAが12月までに金利引き下げに踏み切る可能性があると注目を集めている。
*NZドル「通貨8位(9位)、株価13位(10位)、8月最強、AA+の信用格付け確認」
(NZドルは今月最強)
今月のNZは強い。先週と8月ここまでは最強だ。同期間で円より唯一強い通貨。ただ年間では8位。NZ50株価指数は年初来6.45%高、10年国債利回りは4.22%。
(AA+の信用格付け維持を確認)
フィッチは、財政黒字化への遅れにもかかわらずAA+の信用格付けを維持を確認し、見通しは安定的とした。これは政府の財政計画との強固な経済基盤に対する信任とみられる。
ドル円は 152 円手前まで上昇。1 月 1 日に発生した能登半島地震の影響で、日銀が復興支援のため
豪ドル相場を見通す上で最も注目したい指標が、RBA金融政策発表です。RBAは現在の金利据え置きによって、インフレ抑制に向けた行動を続けていますが、現時点でインフレ率はRBAが物価目標としている年2%~3%のレンジを依然上回っています。
上述したようにRBAは足元のインフレ動向を背景に引き締めスタンスをとっているため、当面は現行の金利水準の維持が想定されます。とはいえ、経済指標(データ)次第であることに変わりないため、今後も声明等の内容に注目しつつ、指摘されるインフレリスクや経済の不確実性などの要素を見定めていく必要があるでしょう。