150円超の円安進行、日銀の利上げ早める要因になり得る-門間元理事


それは米金利が上昇したからだろう。日米独など主要国の長期金利は基本的に連動する。基本は、「世界一の経済大国」である米国の長期金利変動の影響を受けると考えられる(図表3参照)。


日銀追加利上げ観測で進む円高と円高に連動した株価の急落|2024年

「石破発言」当時、0.8%台前半で推移していた日本の10年債利回りは、最近にかけて1%近くまで上昇した。これは金融政策を反映する短期金利についても基本的に同様で、2年債利回りは0.3%台半ばから0.4%台半ばまで上昇した。日銀の利上げ見通し後退でも、日本の金利はむしろ上昇したのはなぜか。

米10年債利回りの上昇は、9月18日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が0.5%の大幅利下げを決定した後から始まった。なぜ大幅利下げを受けて、米長期金利は上昇へ向かったのか、一般的には米経済のソフトランディング(軟着陸)への期待を受けた動きとの理解が多いだろう。

第30回「米利上げ開始とドル円レート」 | 知るほどなるほどマーケット

この10月2日の143円台から、その後150円を大きく超えるまで米ドル高・円安に戻した動きは、基本的に日米の長期金利、10年債利回り差の変化と連動したものだった(図表2参照)。これが、石破発言を受けて日銀の早期利上げ見通しが後退し、日本の金利低下を通じた金利差円劣位拡大だったかと言えばそれは違うだろう。

石破総理が、日銀の植田総裁との会談後に「個人的には今利上げする環境にあるとは思わない」と発言したのは10月2日(水)だった。この日の米ドル/円は143円台で推移していたが、この発言後から円売りが拡大し、一気に146円台まで米ドル高・円安となった(図表1参照)。米ドル/円の値動きを振り返ると、この発言がそれまでの円高から円安再燃への大きなきっかけになったようにも見える。

一段の円安なら日銀は大幅追加利上げも ―経験的に見て170円/ドルの円安で+0.5%の利上げ圧力― ..

米金利上昇を受けて、日本の金利も、日銀利上げ見通し後退にもかかわらず上昇してきた。日本の金利上昇にもかかわらず円安になったのは、それ以上に米金利が上昇し、日米金利差米ドル優位が拡大したためだろう。

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5カ月ぶりに一時1ドル=157円台に 日銀利上げ見送り、円安進む

【円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

以上のことから、最近にかけての円安に対して日銀利上げ見通し後退の影響はほとんどなかったと言えるのではないか。そもそも日本の金利は低下しておらず、むしろ金利が上昇したにもかかわらず円安になったのは、日本以上に米金利が上昇し、米ドル高になった結果ということになる。この先さらに円安が広がるかは、日銀利上げ見通しではなく、米金利上昇に伴う米ドル高が続くか次第になるだろう。


12月19日、日本銀行は金融政策の現状維持を決め、一時1ドル157円台まで円安が進んだ。ただ、今後の政策金利の方向性は上向きである。

「噂で買って事実で売れ」は、ニューヨーク株式市場から出てきたと言われますが、買い材料は思惑のうちに株価に織り込まれ、事実として公表された時には十分に株価が上昇してしまっていることを意味します。為替レートを株価と同一視することはできませんが、金融市場が将来を先取りして動く性質は共通しています。

日銀、円安対応で利上げも 米国にインフレ再燃懸念―トランプ氏勝利

日銀の金融政策を巡っては、石破茂首相が首相就任後の2日に、「現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」との見解を表明。ただ、翌日には政策判断に「時間的余裕はある」とした植田和男総裁の認識を念頭にしたと釈明するなど、一連の発言が相場を大きく動かす要因となった。

米大統領選で、大規模減税など景気刺激策を掲げたトランプ前大統領が勝勢となり、6日の東京外国為替市場の円相場は対ドルで急落した。

日銀前副総裁の若田部昌澄早稲田大学政治経済学術院教授は同討論会で、「為替レートからインフレ率への転嫁が大きくなっている可能性があることは理解している」としながらも、「為替レートがインフレ率にどの程度影響を与えるかはあまり明確ではない」と指摘。7月の利上げは時期尚早だったとし、為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」だとの見解を示した。

ドル・円は伸び悩みか、ドル買い継続も日銀追加利上げに根強い期待

実際に、図3にあるように、2021年の円安ドル高傾向は、将来の米国の利上げ開始を先取りして動いた側面があります。2021年前半の円安ドル高は利上げよりも財政出動や資産買い入れ縮小(テーパリング)観測が主因と見ていますが、2021年後半の円安ドル高は、FRBが2022年に利上げを開始するという見方が強まり始めた昨年10月頃が起点となっています。11月にテーパリグ開始、12月にテーパリング加速が決定され、2022年3月にテーパリング終了すると示されると、同月に利上げするとの観測が高まり、円安ドル高が進行したのは、読者の皆様の記憶に新しいのではないでしょうか。

また再び円安リスクが強まる ~7月の追加利上げでも止まりにくい

日銀は円安による物価見通しの上振れリスクに配慮し、7月の金融政策決定会合で追加利上げを決定した。9月の会合前にブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、12月を筆頭に来年1月までの追加利上げを9割近くが予想している。

円安進行143円台 日銀が利上げから距離 アメリカ経済見通しに不安

前述したように、為替レートに影響するのは米国の政策金利だけではないので、その他の材料も考慮しなくてはなりませんが、足もとのドル円レートが米利上げをどの程度まで織り込んでいるのか、1990年以降は利上げ開始で円高ドル安に動いてきたが今回は異なるのか、熟考しながら、3月15~16日のFOMCに備えましょう。

1か月ぶり1ドル147円台「円安」 石破首相の利上げ慎重発言などで

同日の外国為替市場の円相場は対ドルで一時1ドル=149円50銭台に下落。米国景気の軟着陸期待などで米利下げ観測が後退する中、心理的節目の150円に接近した。円安による物価上昇が改めて意識される中、門間氏の発言は円安が日銀の追加利上げ判断の重要な材料になり得ることを示すものだ。

石破首相の利上げに慎重な発言などを受け、外国為替市場で円安が進み、円相場は1か月ぶりに一時1ドル=147円台まで値下がりしました。

《本資料は執筆者の見解を記したものであり、当社としての見通しとは必ずしも一致しません。本資料のデータは各種の情報源から入手したものですが、正確性、完全性を全面的に保証するものではありません。また、作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願い申し上げます。》

日銀の利上げ姿勢と米国の9月利下げ開始見通しで8月5日安値試しへ

門間氏は、円相場が対ドルで「さらに150円、155円まで下落し、人々が円安と物価上昇を懸念し始めたら、日銀は次の利上げのタイミングを早めることになるだろう」と語った。ブルームバーグ東京支局で10日に開催されたイベントのパネル討論会で英語で述べた。

19日午前の東京市場でドル・円は堅調地合いとなり、154円44銭から155円27銭まで値を切り上げた。日本株安を受け、序盤は円買いが先行。

JPモルガン証券の西原里江チーフ日本株ストラテジストは同討論会で、市場関係者の間で石破政権がタカ派的な政策を取るとの懸念は後退したが、総選挙を経て「今やどれくらい石破政権が続くかに目を向け始めている」との見方を示した。

他方、円金利は上昇した。5月13日に日銀が国債買い入れを減額したことを受け、国債の需給悪化や日銀の追加利上げ観測が高まった。

元日本銀行理事(金融政策担当)の門間一夫みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストは、外国為替市場で円安がさらに進めば、日銀の追加利上げの判断に影響を与える可能性があるとの見解を示した。

一時157円台 5カ月ぶり円安水準 次の利上げ遠のいたとの見方広がる

植田日銀の初会合を経て、円金利の低位安定が確認された後、ドル円相場は137.50円付近と年初来高値を断続的に更新した。

[PDF] 過去の米利下げ局面をなぞるドル/円と上放れ中 の日経平均

もちろん、米国の政策金利だけで為替レートが決定されるわけではないので、その他の要因も考慮する必要がありますが、過去の利上げ開始時のドル円レートの反応を見ると、金融市場の格言として知られる”Buy the rumor, sell the fact”、つまり「噂で買って事実で売れ」が思い起こされます。

ドル円 日銀利上げ後に円安進行、150円台を示現(3/19夕)

その後、5月2~3日のFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)で利上げ停止が示唆され、5月4日のECB(欧州中央銀行)政策理事会でも利上げ幅の縮小が決定されるなど、欧米中銀のハト派傾斜が顕著になったものの、ドル円相場の下落は限定的で、134~135円付近で推移している。